World Walker
「女騎士を単騎で攻め込ませるとは、女神国の乙女も随分と戦略を変えたな」

左耳の耳飾りを指先で弄びながら、皇帝は不敵に笑う。

「お前が囮になる間に、乙女と紅の率いる本隊が帝国本国に攻め込むといった所か?」

成程、200万の兵全てを率いてこなかったのはその為か。

多少は知恵が回る…というか、軍の指揮官ならばその程度は当たり前か。

「お生憎様、私は女神国の騎士じゃないわ。この甲冑は只の借り物よ」

りせはフンと鼻を鳴らして見せる。

「ならば何故帝国に攻め込んできた?単騎特攻など何の旨味もなかろう。それとも自殺志願者か?」

嘲笑う皇帝。

「紅といいアンタといい…この世界には嫌味な男しかいないのかしら」

馬上で剣を構え、りせは叫ぶ。

「アンタを打ち負かして紅をギャフンと言わせる!それが私の目的よ!」

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