World Walker
「戦乙女じゃないわ!」

魔槍を二撃三撃と放つりせ。

呪われの魔槍、一国をも滅ぼす武具と恐れられ、紅しか扱えないと言われた逸品を、りせは長年の得物のように使いこなしていた。

「そんな綺麗綺麗な二つ名なんて、こそばゆいわよ!」

「ならば貴様は何者だ?」

りせの攻撃を悉く捌きながら皇帝は言う。

「長きに亘る戦乱が終わった彼の地に再び戦火が上がろうとしている…それを止める為に遣わされた神の化身ではないのか?尤も…」

一瞬の隙を突いた皇帝の斬撃…一度納刀しての『イアイ』が、りせの甲冑越しに胸を袈裟斬りにする!

「神であろうと俺の覇業は阻めぬがな!」

「うぐ…!」

甲冑越しとはいえ傷の痛みが響いた。

馬上でグラリとよろめくりせ。

「殺った」

大きくカタナを振り上げ、上段から振り下ろす皇帝。

しかし。

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