白薔薇と童話姫
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「やめて…ッ!!レプラコーン!!!」
悲鳴にも似た泣き声を上げる彼女の涙が垂れ落ち、朝露のように白薔薇を皮肉にも飾り付けている。
だが、今ここには太陽という光など差し込んではいないのだが。
白薔薇達の刺が自らの柔肌に深く突き刺さっているのに、彼女は気づいていなかった。
ただ、茶髪の青年の心配をし、声を枯れさせていた。
茶髪の青年の血が、白薔薇を紅く染め上げている。
レプラコーンと思われる男は、暗闇のせいでまともな実態をつかめない。
レプラコーンは、意地悪くニヤリと口角を上げ、笑った。
「クククク…どうだ…??苦しいだろ…泣き叫べよ」
茶髪の青年の目は虚ろで息も絶え絶えで大量の血が流れている。
「…それとも喋る力も無いか」
茶髪の青年は、ふん、と鼻を鳴らした。
「…最高だ…コノヤロー」
精一杯の罵声なのだが余裕のあるレプラコーンには意味も無く。
「いや…っ」
レプラコーンは、一瞬苦虫をかみつぶしたように顔をしかめた。
「そうか…馬鹿め」
レプラコーンの左手には、妖しいとぐろを巻いた闇が現れる
「いや…」
レプラコーンはニヤリと口角を上げた。
「愛に」
「いや…いや」
レプラコーンの手が、天に掲げられる。
「いやっいやっいやっ…」
そして気味悪いとぐろは暗闇の空さえも食い尽くすように天に一気に広がった−−−−−−−。
「死ね」
「いやぁぁぁああ゙あ゙!!!!!!!」