透明少女 ~フタリキリ~
二人で暮らしたあの家に、月乃が一度でも帰ってきたのかどうか、あたしは確かめられていない。

「ただいま」って言ってドアが開くことはなかった。

あたしの名前が呼ばれることもなかった。

誰かがいるような気配だけは何度も感じていた。

物音がしたこともあった。

だけど呼びかけても返事はなくて…

だからただの気のせいじゃなかったとは言い切れないわけで…
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