透明少女 ~フタリキリ~
あたしは不良達に近づいて耳元で“うらめしや”ってささやいてやろうと考えた。

「うらめ………ゲホッ! ゴホッ!」

ささやきにもならない、かすれきった声しか出なかった。

月乃が出ていってから何日も、誰とも口を利いていなくて、ずっと声を出していなかったせいだった。
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