インタビュア
希望なんてない。



今日もまた、私の嫌いな朝がやってくる。


「巡音さーん、採血しますね。」

「はい。」


いつものように私の病室に二人はやって来て、治るはずもない私の病気を診てくれている。

担当医の芽衣子(めいこ)ちゃんと、看護師の海人(かいと)くん。

二人と出会っても私には何の意味もない。

私の好きだった歌手でさえもこんな事を言い出した。

『掛け替えのない命なんだからもっと自分を大切にしよう。』

普通の人間ならイイ歌、と感じることが出来るけど・・私はそうじゃない。

例え誰かが私と変わっていても彼らは何も困らないんだ。


私が病気にかかってなかったとしても、みんなの見ている風景は全く変わらない。

取り戻せたなら、ただ私はあの日々に、あの日常に借り物でもいい。

自分が座るはずだった場所と椅子を探す。





だけど私にはそんな簡単な願いも叶わない。

結局私は何にもなれないまま、何がしたい、これがしたい、あれがしたい、そんな事願うヒマもなく死んでいくのだ。
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