インタビュア
≪レンくんの好きな音楽は?≫
≪え、え~?好きな音楽・・?
う~ん・・難しいな(笑)・・好きな人が聞いてる曲とかかな・・?≫
≪そう・・なんだ。≫
私は幼い頃、近所に住む一つ上の男の子に想いを寄せていた。名前はレンくん。
彼も私の想いに気づいていただろう。
彼の心が一体誰を見ているのか、子供心に分かった。
どんな想いで彼女を見ていたか、分かっていたはずだった。
≪違う!僕が好きなのはリンじゃない!!≫
バン!
レンくんが机をたたいて必死に私に抗議する。
≪じゃあ、何でさっきからリンちゃんのこと見てるの?
好きだからでしょ?好きだから気になって見ちゃうんでしょ?≫
≪そ、それは!・・・≫
これは私の嫉妬だ。
レンくんの双子の姉であるリンちゃんのことをレンくんはずっと見ていた。
”親友”であるはずの私を放っておいて。
子供心に悔しかったのだろう。
だから私は彼に一日だけデートをして、と頼んだ。
彼女が当時、とてつもなく大きな病気を抱えていたという事実を知らずに。