されど、時計は右回り
「死にたいならばもう“やっている”はずだろう?それをやらずに他力本願で、自殺を他殺にしようなどと、私の気持ちも考えてほしいものだ」
「面倒な真似はしたくないか」
「面倒ではない。面倒ごとで済まされないからやりたくないのだ。君は私の大切な友人なのだよ。“殺す”という一生に一度しかないことを、安易に――そう例えば首を切って一瞬だなんて、“どこにでもあるような死に方”をさせたくはない。
君は私にとっての特別。ならば、特別な殺し方をしたい」
「拷問でもするか」
「それも却下だ。特別な、大切たる君を苦しませたくはないものでね。出来れば、痛みを感じず安らかに。笑顔で逝ってくれるのならば尚も良し。安楽死と一般的に言うわけだが、先の話に戻ろう。“一般的”では、特別でないのだ」