恭&綾~【恭&綾シリーズ】1

二人だけの時間


恭司は前に行ったことがあったカラオケ店に綾を連れて行った。


「東京に来て、カラオケボックスに来るのは初めてだよ」

「オレは二度目。前にさ、ライブの後、盛り上がって、会場で知り合った人たちと歌ったことあるよ」

「へぇ~、楽しそうだね」

「めちゃ楽しかったよ~」

「帰りの電車の時間は?」

「22時56分」


 恭司が帰りの時間をはっきり答えた瞬間に綾の表情が寂しげになった。


「明日、仕事なんだ?」

「そうだよ。さっきから明日の仕事のこと、気にしてるね」

「――」


 俯いていてしまった綾は、何も言えないでいた。


< 272 / 286 >

この作品をシェア

pagetop