恭&綾~【恭&綾シリーズ】1

「綾がいて欲しいなら、朝までいるよ。――でも、何もしない」


恭司の言葉に綾が顔を上げる。

自分から先に言うのもなんだけれど、きっとこう言っとくべきなんだと恭司は思っていた。


「綾のこと、いっぱい知りたい。いっぱい話そう」

「――うん。ありがとう」


 綾は言いながら、瞳を潤ませていた。


「あ~あ、そんな大きな目をして、そんな風に涙見せるなんて、ずるいな」

「泣いてないわよ」

「泣きそうになってるよ」


 ドキッとしたことを見破られないように、恭司は笑って見せた。

< 273 / 286 >

この作品をシェア

pagetop