そして少女は兵器になる
いつかは忘れた昔、聞いたことのある音がした。

ごうん、と。

音がした方向を向くと、やはりいつかのように、壁が左右に割れていた。

呼び起こされ、引き出される記憶――

左右に開いたそこから、あの獣が出てくるのかと警戒した私は、密かに腰を落として、身構えた。

ぺた、ぺた。と足音が聞こえ、四角い闇の向こうから現れたのは――人だった。

それも、小さな女の子。赤い髪の、細くて小さな、弱々しい人。

上から下までなにもまとわない肌はほのかに生の色を帯び、なだらかでなめらかで、なまめかしい。半開きの眼は、燃えているように燦と赤い。

一瞬、理由もなく、そこにいるのは私なんじゃないかと思った。

思った、時に、

「第四段階、開始」

天井角から、声が告げた。
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