そして少女は兵器になる
「ミスターに連絡しとけ」

と彼は言った。

「もうすぐご所望の兵器が完成する。受け取りに来いとな」

「はい」

監督者の指示を受け、数いる白衣の男がひとり、この展望観察室から出ていく。

その時、ちょうど、11がゆらりと体を伸ばした。

なにかを丸まって抱きかかえていた格好から、だらしなく立ち上がる。

焦点の定まらない幾数の目玉が、こちらを見た。

ひとりふたり、気の弱い研究員が、少女の赤さに怯み、怖じ気づく。

プロフェッサーひとりが、

「終わったな」

落ち着き払って、マイクのスイッチを押した。
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