そして少女は兵器になる
よくわからない私の前に、

「さて8、旅立ちだな」

白衣を着た男が、立っている。

私が今までいた白いケースとは違う、銀か灰色かで埋め尽くされた、窮屈な場所。

背もたれのある椅子に深々腰かける男は、細くて、やつれていて、けれど目がギラギラとしていた。

「ようやくだ、ようやくだぞ、8。お前は完成した」

その目が、私を下から上まで、上から下まで、撫でるように舐めるように見つめる。

なぜかはわからない。気持ちの悪い目ではあったけれど、嫌いにはなれない。なぜかは、わからない。

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