そして少女は兵器になる
男の言葉を頭の中で反芻させていると、銀色のドアが、開いた。

プシュッ、という排気音とともに、ステッキにシルクハット、スーツ姿の、紳士が入ってきた。

鷹のような目付きの紳士が、入室一番、

「これは……やはり麗しい」

私を褒めた。

取ったハットの下から出てきたのは、プラチナブロンドの髪と、厳格な表情。

椅子の男が博士ならば、この紳士はやはり紳士、あるいは男爵と呼ぶに相応しい。

老の付きそうな紳士が、腰を折り、手袋を外して、私の手の甲にキスをしてくる。

なぜこんなことをするのか。男達はなんなのか。私はこれからどうすればいいのか。わからない。

生はあるのに、私の『未来』はあまりにも空虚だ。
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