そして少女は兵器になる
私の答えを聞き、男達は、いっそうなにかに満足したようだった。

それから私は、部屋の外へ出され、初めての廊下を歩き――初めて、『外界』の土を踏んだ。

本当の空は、天井よりもずっと高く、太陽の眩しさは、熱を持っていることを、知った。

なにもかも、見たことのないことばかりで、わからなくて、圧倒される。

これから、なにがあるかは、そう、わからない。

わからない。

わからない。

私は、なにもわからない。

知識ばかりが先立ち、そのくせに、大事なことがわからない。

私は、少しの不安を覚え、私をあそこから連れ出した――いや、たぶん迎えにきた老紳士に、訊ねた。

「わたし、は、いきられる?」

すると返ってきたのは、優しい、そしてどこかあの博士と似かよった声音。

「ああ、生きられるとも。君が、生きたい生きたいと、もがけばね」

その言葉に、私は今、無理やりに安心を覚えるしか、なかった。

世界へ、……私の知識が答えを出してくれない『世界』へ、私は踏み出したのだから。
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