そして少女は兵器になる
音の強大さに尻込みをしてしまった私は、だけど、イヤに爽快ななにかを覚えていた。

獅子なのか、蜥蜴なのか、牛なのか、蜘蛛なのかわからない『それ』が、突進してくる。

狭くはない部屋で、獣の跳躍力は、ありあまる。

私は息を飲み込むまもなく、『それ』の角に貫かれ、壁に叩きつけられた。

瞬間、熱くて苦しくて気持ちの悪いものが込み上げ、

「っ、ぼ……」

私は、それを吐き出した。

ばちゃりと獣の剛毛にかかったのは、赤い液体。

『声』とは違う、だけど私の口から出た、なにかだった。
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