そして少女は兵器になる
スプリンクラーのように血が噴き出し、白い世界を染め、汚し――浸る。

私はその中で、生を掴んでいた。

獣の生首を、ちぎり掴んでいた。

獣の体がぐらりと倒れ込んでくる――のを、私は許さなかった。

「いき、のこるのは、わたし」

空いているもう一手で、獣を支える。

血のせいで私の手はべたつき、獣の毛はぐちゃぐちゃに絡み付いてくる。

目や口に、赤い栄養が垂れ込む。

これは、命の味なんだろうか。わからない。

わからないけれど、

「いきるのは、わたし」

弱肉強食を果たし、吸収するのは、この、私のほうだ。

だから、私は自分の手から、獣の命を吸収した。
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