先生の秘薬
そして

沈黙を破ったのは

栞だった。

「お願い!久遠ちゃん!
 私たちに協力して!」

そう言って栞が

頭を下げた。


そして私も頭を下げる。


そしてまた

流れる沈黙。


そしてやっと

久遠先生が口を開いた。


「君たちは
 過去の逢坂先生に
 何があっても
 逢坂先生をキライに
 ならない自信は
 ありますか?

 私も逢坂先生に
 何があったのか
 ウワサ程度にしか
 知りません。
 そして本当のことを
 知り得たとして
 今までのように
 逢坂先生を見て
 いけるんでしょうか・・。

 過去を知ったことで
 私たちまでが
 逢坂先生を
 傷つけることがあっては
 いけないんです。」



少し寂しそうな口調で

久遠先生はそう言った。


その言葉を受けて

栞が久遠先生に

言った。


「そこまで
 逢坂っちのことを
 思っている久遠ちゃんなら
 大丈夫なんじゃない。
 過去も含めて
 全部受け入れて
 あげれる人が1人でも
 いるなら、逢坂っちも
 少しは救われるん
 じゃないかな・・・。」


いつもの栞とは違う

少し大人びた

落ち着いた口調。


それに比べ私は

ただ冷めているだけで

全然中身が

ともなっていない。


現に私は

久遠先生の言葉に

何一つとして答えることが

できないでいる。

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