先生の秘薬
「さ♪
 まずは誰から行く~?」


栞が久遠先生の

もっているリストを

覗き込みながら言った。


「いちのせ・・・
 りし??」


「一ノ瀬理史
(いちのせみちふみ)
 じゃないかな??」


苦笑いしながら

久遠先生が答える。


「ふーん。
 とりあえずリストの
 一番上だし
 一ノ瀬君って人から
 行ってみる??」


栞が私の顔を見て言った。

久遠先生も私の

返事を待っている。



「・・・そうだね。」


「よし♪
 じゃあ久遠ちゃん
 しゅっぱぁ~つ♪」


「え?!
 ナ、ナビ入れるから
 ちょっと待って!」



久遠先生が

リストを見ながら

住所を入力している。


すると栞が私に近寄って

小さな声で話してきた。

私はしっかり

聞き取るように

栞に耳を向ける。


「ねぇ悠月。」


「ん?」


「どっちか助手席
 行ってあげた
 ほうがいいんじゃない?
 久遠ちゃん一人で
 大変そう・・・。」


「私もそう思う。」


「じゃあ今日は
 悠月が助手席ね♪」


「わかった。」


私は後ろから降りて

前の助手席に移動した。


「え??」


久遠ちゃんは驚いた

様子で私の行動を

じっと見ている。


助手席に乗り込んだ私は

「手伝います。」

って言って久遠先生に

微笑んだ。


「あ・・
 ありがとう・・//」


そして私たちは

一ノ瀬理史さんの家へ

車を走らせた。

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