先生の秘薬
そっとその場から

少しずつ距離を取った。


それに栞は

気づいてしまった。


「あ!悠月待ってよ!
 じゃあね!おバカ様~」


「悠月また明日な~♪」


「私はスルーか!バカ教師!」


「ケツのくせに
 しゃべってんじゃねぇよ!
 帰れ帰れ~♪」


「言われなくても
 帰るし!!じゃあね!」


私を追いかけてくる栞。


「あーそうだ悠月。」


呼ばれて

振り返った。


モノに返事の代わりに

冷ややかな視線を返す。


「カゲのある女に
 惹かれる男は多いんだぞ。」


ニッっと笑って

モノが言った。


「・・・・だから?」



「お♪初めて声聞いた!」


うれしそうな顔のモノ。


「あ~もったいない
 悠月の声がぁ~~」


横でガックリと

残念そうにする栞。



「・・カゲを知って
 引いていくのも男だよ。
 行こう栞。」


私はそう言って

栞を引っ張って

その場から立ち去る。


「お!うまいこと言うなぁ~
 惹かれると引かれるを
 かけたわけだな?!
 やるなぁ~悠月~♪」


後ろからモノの声だけは

ずっと聞こえていた。



はぁ・・・


なんか・・・疲れる。
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