先生の秘薬

「・・・担任だった教師に
 もてあそばれて捨てられた。
 そういった内容が
 教師の名前入りで
 書かれてあった・・・。


 筆跡鑑定の結果、
 遺書の文字は
 陣之和香さん
 本人のものであることも
 判明している。
 だいたいの
 新聞も雑誌も
 同じようなこと
 ばかり書かれている。
 そして日に日に
 記事は小さくなり
 紙面上から消えている。

 
 ・・・・おかしいと
 思いませんか?」



久遠先生がそう言って

私たちの顔を見る。



おかしい?


何が・・・?



わからない・・・。


「あ!!
 父親?!」


声を上げたのは栞だった。



「そうです。
 最愛の娘が
 教師にもてあそばれて
 自殺したというのに
 父親は告訴していない。
 それどころか
 コメントすら
 出していないんですよ。
 まぁそのおかげと言っては
 なんですが、それで逢坂先生は
 今、まだ教師として学校に
 残れていますが・・・。」


「どうして父親は・・・。」


「わかりません。
 もしかしたら父親が
 何か知っているのかも
 しれません・・・。
 しかし、この限られた時間で
 父親を探すのは
 不可能でしょう。」


「じゃあどうすれば・・・」



栞と久遠先生のやりとりを

ただ聞いているだけの私。


そしてふと思い出す。
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