先生の秘薬
春木さんはストーブを

つけ終わると奥のほうへ

向かって行った。

少しして飲み物の入った

紙コップをお盆に乗せて

戻ってきた。



「うちの牛乳しかないけど。」



そう言って私たちの前に

紙コップが置かれていく。



「ありがとうございます。」



久遠先生が言った。


私たちも久遠先生に続いて

お礼を言った。


そしてようやく

春木さんが私たちの前に

座った。



「で、今頃になって
 和香の何を聞きたいの。」



春木さんの表情は

暗いままで何から

切り出していいのか

わからない。


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