先生の秘薬
バンバンバンバン!!



急に廊下側の窓が

激しく叩かれた。



半透明の窓に

浮かび上がる人らしき

シルエット。


近くの生徒が

窓をあけた。


窓から身を乗り出すように

出てきたモノ・・・。


「よぉ!!
 みんな元気?!
 もう知ってると思うけど
 俺がこの学年の
 学年主任っていう
 先生たちをまとめる
 エラーイ立場の
 逢坂 一至(オウサカ カズシ)
 でぇ~す♪♪
 年はハタチ♪よろしく♪
 担任の文句は全部俺に
 言ってこいよぉ~

 お!!俺の悠月じゃん!
 このクラスかぁ~」


そう言って私に

勢いよく手を振ってくる・・モノ。


いつの間に

名前調べたんだかね・・・。


私はまた冷ややかな目で

そのモノを見た。


久遠先生が無言で

窓に近づき


バン!


と窓を閉めた。


『ひっどぉ~い!
 久遠ちゃーん
 あけてよぉ~
 あー?いいんだぁ~?
 久遠ちゃんの評価
 落としちゃうもんねぇ~
 給料ガックーンっと
 下がっちゃうんだからぁ~♪
 後で泣き言言っても
 知らないよぉ~??
 一晩付き合ってくれた
 ぐらいじゃあ
 許さないんだからぁ~♪』


閉められた窓の外で

ずーっとしゃべってるモノ。


「誤解されるようなことを
 言わないで下さい!!」


久遠先生は

窓に向かって叫んだ。


そしてその窓のところで

久遠先生がみんなに言った。


「残念ながら
 君たちの学年主任は
 あの逢坂先生になります。」


『一至って呼んで~~♪』


まだ廊下で叫んでるよ・・・。
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