先生の秘薬
部活の火曜日と木曜日は

化学室が開放されていた。


私と栞は放課後

そこで少しだけ

お茶をして帰ることが

日課になった。


基本的には久遠先生がいて

他にも部員がちらほらいた。


自習をしたり

時間つぶしだったりと

化学らしいことを

している部員はいなかった。



「あ♪久遠ちゃ~ん♪
 今日は久遠ちゃんにも
 飲み物買ってきて
 あげたよぉ~♪」



栞が元気よくそう言いながら

化学室に入っていった。


「ありがとう。」



久遠先生はにっこり

微笑んで栞の差し出した

ペットボトルの

お茶を受け取った。



「本当にお茶だね。」


「だって好み知らないし~」


「一緒にお昼食べてるのに・・・
 僕は紅茶が好きだよ。」


「へぇ~めずらしいね!
 男の人で紅茶って~」



久遠先生は優しく

微笑むだけで何も言わず

実験で使ったであろう

器具を片付けていた。

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