先生の秘薬
それから数日後。

3限が終わって少ししたころ

逢坂先生が

教室の入り口に現れた。


「悠月!ちょっと!!」


少し急いだ様子で

逢坂先生が私を呼んだ。

「なんで悠月だけ
 なのよ!!」


すかさず栞が

反応する。


「お前も一緒でもいいから
 急げ!」


「なんなの?!!
 悠月とりあえず
 マジっぽいから行こ!!」


私は返事をする間もなく

栞に引っ張られて

逢坂先生と一緒に

渡り廊下のあたりまで

走った。


「見てみ。」


逢坂先生が立ち止まり

そう言った目線の先には

体育の室崎(ムロサキ)先生に

何かを言われては

何度も何度も

頭を下げている久遠先生だった。


「なに・・・久遠ちゃん
 怒られてるの?」


栞が少し悲しそうな声で言った。


「悠月。
 お前には見せて
 おくべきだと思ってな。
 俺も久遠の考え方に
 賛成派だけどな。
 ・・・・さて。
 久遠を助けに
 行ってくるかな。
 俺の勇姿をしっかり
 目に焼き付けとけよ悠月!」
 

そう言ってニヤッと笑った。


「何?!
 自分のかっこいいとこ
 見せたいから
 わざわざ呼んだだけ?!!」


「あたりまえじゃねぇか!!
 悠月が見てなけりゃあ
 放置だ放置!(笑)」


「サイテー!!
 どうでもいいから
 早く久遠ちゃん
 助けに行ってあげてよ!!」


「オマケのくせに
 うるさいぞ!!」


「誰がオマケなのよ!!
 いいから早く!!」


「はいはい。
 じゃあちょっと
 行ってくるわ。」


私は何も言うことが

できなかった。
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