先生の秘薬
「おまたせしました美倉さん。
 荷物も取ってきましたから
 帰りましょうか。」

そう伊波先生が

カーテン越しに

声をかけてきた。


「はい・・・。」


私はベットからおりて


カーテンをあけた。


そこには優しい顔の伊波先生。

もう逢坂先生の姿はない。


「寒くはないですか?」


「はい。」


「じゃあ行きましょうか。」


そう言って

私の荷物を持った

伊波先生が

ドアのほうに向かう。

私も後を追って

廊下に出た。


廊下には

逢坂先生が取ってきて

くれた靴と靴下が置いてあった。


私は靴下と靴をはいた。


ジャージにはすごく

違和感のある黒い革の靴。


少しため息をついて

廊下の先で待ってくれていた

伊波先生のもとに急いだ。
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