先生の秘薬
「伊波先生は
 逢坂先生の過去を
 知っているんですか?」


思わず伊波先生のほうを

向いて聞いてしまった。


すると伊波先生は少し

笑って言った。


「美倉さんは
 なかなか頭の回転が
 はやいみたいですね。」


「頭は・・悪いです。
 成績よくないし・・・。」


「それは今の勉強方法が
 美倉さんに合って
 ないんですよ。」


「・・・それより教えて下さい。
 逢坂先生の過去を。」



微笑んでいた

伊波先生の顔が

徐々に真剣な

表情になっていく。



そして少しの沈黙。



そして伊波先生が

口を開いた。


「僕が知っているのは
 ウワサだけです。
 それが真実とは限りません。
 それでも知りたいですか?」


「・・はい。」



「・・・・ダメです。
 美倉さんはまだ僕を
 信用していません。
 相手を信用させたいなら
 まずは自分が相手を
 信じることです。」


 

相手を・・・信じる・・・。




私は伊波先生から

目線をはずし

うつむいた。

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