先生の秘薬
2人でならんで

ベンチに腰掛けた。

「もしかして・・
 今日でかける
 予定だった?」


「・・はい。
 でも、まだ時間
 ありますから。」


「そう。よかった。」


「・・・・。」


「・・伊波先生から
 話しは聞いたよ。
 ごめんね・・・
 守りきれなくて・・。」


「先生は悪くないです。
 ・・・私の問題です。」


「・・僕が一緒に
 背負ってあげることは
 できないかな。」


「え?」


「僕はきっと君の
 背負っているものを
 取り除いてあげれるほど
 力はないんだと思う。
 だからせめて
 君が少しでも
 楽になるように
 一緒に背負わせて
 くれないかな。
 君は過去のことを
 何も話さなくて
 かまわない。
 ただ、これから先に
 起こることを
 1人で抱えこまないで
 欲しいんだ。」


「・・・・。」


「・・美倉さんは
 逢坂先生と
 同じような雰囲気を
 持っているね。」


「先生も・・・」


「ん?」


「先生も・・
 逢坂先生の過去
 知っているんですか?」


「・・前の学校の
 ことだから、
 噂程度しか知らないけど・・。
 ただ、逢坂先生はとても
 傷ついて今もずっと
 引きずっているんだろうなって
 思うよ。

 美倉さん。
 そんなに過去って重要な
 ことかな。
 僕は今、目の前にいる
 逢坂先生を
 尊敬もしているし、
 素敵な人だと思ってる。」


「・・・・。」


久遠先生はとても

まっすぐな先生だ。


けど、世の中は

もっと汚れている・・・。


久遠先生には

私の気持ちなんて・・・・。

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