先生の秘薬
私は栞に先に帰って

もらうように言って

職員室内の指導室に

向かった。


そしていつもみたいに

職員室の入り口の

あたりで久遠先生が

待ってくれている。


久遠先生は

少し微笑んで

「大丈夫?」

って聞いてくれた。


私は無言で

うなずいて

久遠先生の後を追って

指導室に入った。


指導室の中で

壁にもたれかかって

立ったまま

逢坂先生は

待っていた。


逢坂先生は

私を見ると

また傷ついたような

悲しい顔をしていた。


私は逢坂先生に

少しだけ微笑んで

心の中で


『大丈夫だよ。』


って伝えた。

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