先生の秘薬
「夏休み中は
 部活は禁止??」


栞が話しを

引き伸ばすかのように

久遠先生に話しかける。


「化学部は
 夏休みは活動届けを
 出していないので
 夏休み中は
 部活なしですね。」


「久遠ちゃんは
 いないの?!」


「え?僕ですか?
 僕は一応いるとは
 思いますが・・・
 今日の講習会の
 続きで・・」


「久遠先生、そろそろ。」


伊波先生が

久遠先生と栞の

話しをさえぎるように

そう言って

私の顔とチラッと見て

またイヤな笑みを浮かべた。


「えー!
 もう少しいいじゃん!!」



栞が私をチラッと

見ながら話しを

引き伸ばそうとしてくれる。


「ごめんね、真柴さん。
 ほんと、もう行かないと。
 それじゃあ。」


久遠先生はそう言って

私たちに微笑んで

私たちの横を通りすぎて行く。



ダメだ!

ここで言わないと!


私はとっさにそう思って

振り向いた。



「久遠先生!!」

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