あおぞら。
15分程度他愛もない話をしてから、例の焼き肉屋に向かった。
「わたしホルモンは好きですけど、前に言ってたマルチョウってなんですか?」
わたしは焼き肉屋には疎い。
基本的に美味ければ部位など気にしないので、マルチョウというものを知らなかった。
「マルチョウはねー、ホルモンの革命。」
抽象的すぎてよくわからなかった。
「とにかく美味いんだ。食べてみればわかるよ」
謎を多く抱えたまま、2人で焼き肉屋を目指した。
店は歓楽街にあり、歓楽街にあるにも関わらずこじんまりとした席数の少なめな店だった。
看板には大きく「ホルモン酒場」とある。
店内に入ると元気な店員の声に迎えられ、予約されていた席まで通される。
テーブルには二人分の箸とメッセージカードが一枚あり、カードには“沢田さま ご予約ありがとうございます”と、店員から客への当たり障りのない感謝のメッセージが書かれていた。