あおぞら。



「っ??!!!」



ぼーっとしているあまり、口に出してることに気づかなかった。


いや、それよりもわたしは今、沢田さんを呼び捨てにしてしまった。

それがなによりも恥ずかしかった。

そうか、この人も“そら”だった。なにも考えてなかった。



「嬉しいなぁ、藤堂さんが呼び捨てで呼んでくれるなんて」



沢田さんが意地悪な笑みを浮かべる。


みるみる体温が上がっていくのを感じる。
無性に恥ずかしくなってきた。



「ちょっ、待って、今のは違くて…!」

「葵」

「っ!?!?」


突然の呼び捨てに心臓が跳ねた。
一瞬だけ、息が止まった。

目を丸く見開いて固まるわたしが沢田さんの瞳に写っている。


「もっかい呼んで?」


ねだる目がわたしを縛り付ける。
その目に、わたしはめっぽう弱いらしい。


「………そら」



満足げな笑みを浮かべたかと思うと、そのまま唇を塞がれた。



「葵が好き」



一瞬離れた唇がそう告げると、わたしの答など関係なしに、再びキス。



その日からわたしたちは、“青空コンビ”改め、“青空カップル”となった。



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