あおぞら。
ありきたりな常套句を並べられて気分を害したのか、近藤さんはわたしが言った「中絶肯定理論」を採用、彼女にわたしの言葉をありのまま言ってしまったらしい。
結果、近藤さんは彼女と喧嘩をして別れてしまった。
さすがに罪悪感も湧く。
あの理論はあくまでわたし個人の考え方であって、すべての人に共通するわけでもなければ、理解してほしいわけでもない。
決して、かつて自分が憧れた“一般的”な考えではない。
…という一番重要な部分を言い損ねたせいで、近藤さんにあの理論を鵜呑みにされてしまった。
彼女はこれから命となる肉体を腹に宿し、これからどう生きていくのか。
その事を思うと、胸が痛んだ。