あおぞら。





春が終わり、暑さが近づく6月になった。



「俺の就職が決まったらさ、一緒に住もうか」

「へ?」



いつもの焼き肉屋で、マルホルモンを頬張っている時だった。

週末で賑わう店内でも、その言葉ははっきりと聞き取ることができた。


それは非常に唐突で、その言葉がなにもかもの始まりだなんて思ってもいなかった。



「就活頑張ったご褒美にさ。いいしょ?」



半ば強引にも聞こえる提案だった。



「…わたしの就職も決まってからじゃないとやだ」

「却下。俺の就職が決まったら同棲。これ決定だから」

「ちょ、なにそれっ」



焦るわたしを見るなり、にやりといたずらっ子のように笑った。


「先月、高校の時の先輩が結婚したんだけどさ、やっぱ同棲は必要だって言ってたんだよ。一緒に住んでみないと見えない部分てたくさんあるだろうしさ。いきなり他人と共同生活するのって大変みたいで。」




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