あの時も、これからも
昼休憩をはさみ、医局でパソコンをたたいていると

看護師がドアから顔をのぞかせた

「立花先生、お客様がお見えです」

呼ばれたしるふは、看護師と目を合わせ首をかしげる

誰だろう

今日は特に病状説明も入ってなかったんだけど、と不思議に思いながらもしるふは立ち上がって看護師と連れだって出ていく

「女の方でしたよ」

看護師の後ろをついて行くと振り返りながらそう言われる

海斗がらみか…?

と思ってしまうのは、この4年で結構あった事例だから



「芳川さん…!!」

階段を下りて看護師に示された方を見たしるふは、その懐かしい姿に驚きをあらわにする

相変わらずの隙のなさと凛とした背

明るめの茶色の髪をアップにした首筋が白くてまぶしい

「相変わらずね、立花さん」

ふと微笑を浮かべながら薄い唇がうれしそうに言葉を紡ぐ

「どうして?アメリカにいるんじゃ…」

「一時帰国よ。そろそろ高齢の父と母の顔でも見ようと思って」

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