あの時も、これからも
ぴっと専用のカードをかざして暗証番号を入れると自動ドアが開かれる

たまに入っているダイレクトメールやらをポストから抜き取ってエレベーターに乗り込む

7のボタンを押してつくまでの間特に意味もなく郵便物を眺める

ピザ屋の広告や新しいマンションの勧誘

全部ゴミ箱意気だわ、と手の中で二つ折りにする

と同時にエレベータノーのドアが開く

見慣れた廊下を進み、いくつかいった部屋の前でカードをドアの横にある機械に通す

ピッと音がしてドアの鍵が開く

大きなドアをゆっくり開けると主人のいなくなって閑散とした部屋が広がる

ぺたぺたと自分のスリッパの音が毛が響き渡る

玄関から続く廊下を進むとある、リビングのドアを開けて電気をつける

適当にソファの上にカバンを放り投げて部屋の中を見渡す

グランドピアノに音の良いステレオ

その横に並んだCD

大きなテレビとリビングと向い合せになったキッチン

最近訪れていなかった海斗の部屋でしるふは、ふと息をつく

部屋を見回していた瞳が、ある一点で止まる

カーペットを踏まないようにしながら歩き、そっと飾られた写真を手に取る

写るのは白衣姿の自分たち

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