あの時も、これからも
「って全部お惣菜じゃん」

料理しなよ…とため息交じりにつぶやく妹に

「そこら辺のスーパーの惣菜と思わないでよね。ちゃんとデパ地下なんだから」

と自信満々に紗雪が瞳を向ける

「でもさー…」

「いいのよ。いつもいつもバーで酒ばっか造ってんだもん。たまにはでき合いを食べたいわ」

「…お酒を造ってるだけでしょ。料理じゃないじゃない」

「つべこべうるさいわねー。いいからさっさと食べるわよー」

そういってしるふにコップを渡してくる

しるふがカーペットの上に腰を下ろすと、車を止め終えた速人が部屋に入ってくる

「ごくろーさん。間違ってもしるふに触れてないでしょうね」

速人にコップを渡しつつ、紗雪がじとーっとにらむ

「まさか。紗雪を敵に回すことは痛くもかゆくもないけど、海斗ににらまれるのとしるふに嫌われるのは頂けない」

そういってさっさとしるふの向かいに腰を下ろす速人に

「あんたコップだけ持ってかないでよ!!酒を運べ―、酒を」

と冷蔵庫からそれなりのお酒を取り出した紗雪がどん、とテーブルにビンを置く

速人はそんな紗雪には目もくれず、

「しるふ、コップ貸して」

と酒を片手にしるふのコップに注ぐ

「あ、ありがとう」



< 110 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop