あの時も、これからも
特に理由をつけなくても、気兼ねなく海斗の隣に座れる

ベッドも少し狭くて二人でゆっくり寝るのは望めないのだけれど、本当にちょっと手を動かすだけで海斗を感じられて、そんな夜も大好きだったりした

まあ、本気で二人で住むのならこの部屋は狭すぎるのだけれど

愛着のある部屋を見つめていたしるふは、横にあったゴミ袋を掴んで玄関に持っていく

段ボールはひとまず部屋の空いているところに重ねる

「ん?」

ソファの前に置いてあるテーブルの上の携帯が小さな振動を示す

新型にかえたばかりのスマホは、以前使っていたものよりも薄くて小さくて、でも電池は長持ちして使いやすい

技術の進歩を実感したばかりだ

スマホを持ち上げて広いディスプレイに表示された名を見て、しるふは首をかしげる

「もしもし?」

心の中でうそだー、と思いながら通話ボタンを押して耳に近づける

「よう、久しぶり」

「…久しぶり……?この間会ったばっかりじゃん」

うっわー、海斗から電話とか不吉でしかないよ…

「どうしたの?海斗から電話来るなんてさ、珍しすぎて心臓止まりそうになったよ」

「そんなに珍しくもないはずなんだが」
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