あの時も、これからも
「もちろん、電話はそこそこしてたよ?全部私がかけたやつね」

厭味ったらしく言ってやると電話口で海斗が小さく笑う

「そうだっけか」

「そうですー。勝手に自分の手柄にしないで下さいー。……で、どうしたの?」

海斗が電話かけてくるなんて何かあったんでしょう?

そう問いかけるしるふに海斗がいつもよりも静かな声で告げる

「…しるふ、……悪い」

「は?」

たっぷりと間を取ってから告げられた言葉にしるふは目を見張る

「何?返品とかできないって言ったじゃん」

「は?返品?」

「え?だって、今海斗に謝られるってそれしか思いつかないんだけど、違った?」

それか留学が伸びそうとか、だからもう少し待っててくれとか

違うの?

「いや、さすがにそれはないだろう」

「だよね。もしそうだったら慰謝料ふんだくってやろうと思ったもん。一生遊んで暮らせるくらい。海斗ならそれくらいの資産持ってるでしょ?」

「さすがにそこまでしたら黒崎病院がるぶれると思うんだが、それに俺はまだ黒崎病院を継いだわけじゃないから俺自身に資産はないんだが…」

「えー、海斗つかえなーい」
< 157 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop