あの時も、これからも
「でも、ま、私の役目もそろそろ終わりかしら」

神宮寺の言葉に苦笑しか返さないしるふに口調を変えて明るめに言う

「役目ってなんですか」

「黒崎先生がのびのびと仕事ができる医局を作る。それが私の役目」

黒崎君からの勅命よ

誰も海斗のことを特別視しない、とても連携のとれたチームを作り上げる

そうすればきっと海斗は医者を辞めずにいてくれる

「途中まではとっても順調だったのよ?あなたを見つけて、黒崎先生に指導医を任せてあなたが黒崎先生にしがみついてくれて」

徐々に変わっていく海斗を見るのがうれしかった

「でもねー、まさか立花先生と黒崎先生が恋人同時になるとは予想しなかったわー」

難しそうな顔をして腕を組む神宮寺

「嬉しかったんだけど。とっても嬉しかったのよ?あなたが黒崎先生と良い恋愛してくれて」

でもねー。

「ある時気が付いたの。このまま二人の幸せが続いたらきっといつかここから離れていっちゃうなーって」

その時に少し寂しさを覚えた

まるで大学進学のために家を出る子供を送り出すときのような

うれしさと寂しさのない交ぜになった不思議な感情
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