あの時も、これからも
「いつの間にかこの生活に慣れ過ぎてて。これを壊すのが、先に進むのが怖くなってた」

果たしてその先で自分たちは今のように笑いあっていられるだろうか

お互いを、視えない想いを、感じ取っていられるだろうか

「でも、ずっとこのままではいられないんですよね」

そっと口に含んだシャンパンは、軽く炭酸が効いている

「大丈夫よ、あなたたちなら」

きっとどんな状況になったって並んでいられる

「はい」

頷いたしるふの瞳に迷いはない

海斗に恋をしてたくさん、たくさん学んだ

不安や不満、泣きたくなることももちろんあった

それを乗り越えて今がある

バランスが取れてて安定しているように見えてもまだ道の途中だ

やっと恋人としての道を終えただけ

これからもっと長い道を歩んでいかなければならない

それでも海斗となら、海斗がこの手を握っていてくれるのなら

きっとどんなことも乗り越えていける

いや、乗り越えてみせると決めた

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