あの時も、これからも
「医局長。ここの医局長は医局長だけですよ。黒崎先生だってそう思ってるはずです」

だからまだまだお役目ごめんなんて言わせませんよ

そう言って笑ったしるふに神宮寺も笑い返し、

「そろそろゆっくりと余生を過ごしたいんだけどねー」

なんて冗談を言う

でも、

「そうね、黒崎先生がどんな黒崎病院を作るのか見届けるのも悪くないかもね」

彼の下で働いてみるのも一興だ

そう思って神宮寺は、すっきりとした気分で

グラスの中のシャンパンを飲み干した


いつもは静かな医局には、絶えず笑い声や話声が響いている

外は音もなく振る白い雪が、少しずつ少しずつ降り積もっていた

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