あの時も、これからも
夜遅く一人で歩くな、と海斗に言われそうだな

そう思いながら雪の積もった道を行く

クリスマスパーティを終え、夜勤組に仕事をバトンタッチしたしるふは、

独り雪の中を歩く

珍しく雪が足跡が分かるくらいに積もっている

帰ったら温かい紅茶を飲みながらお風呂でも沸かすか、と思ったことろで

「…今日クリスマスだよね」

と思わずつぶやく

……、電話くれても良いのにな

不在着信もメールも受信していない携帯

最近忙しいのか、海斗の名が表示されることはほとんどなくなった

「まあ、あいつが今日本はクリスマスだから、なんて計算するわけないか」

見上げた空は真っ黒で、でもその間から白い塊が落ちてくる

「夜勤すればよかったかな」

そうすればこうして寂しさ胸に携帯を見つめることもなかったのに

海斗の淡泊さを痛感することもなかったのに

ふう、と白い息を吐きながらアパートの階段を上ると

「…?なんだろう」

ポストから茶色の箱が少し飛び出している
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