あの時も、これからも
「えー、だってさ、友達が言ってたんだけど、その子の彼氏はすごーく不機嫌になるらしいよ、彼女が違う男といたり、少しでも言い寄られると」

海斗、そんなことないじゃん

「今まで患者や従業員でお前に言い寄ってこれたやつが一人でもいたか?俺がどんなに苦労して、小さな芽を摘んでやっているか」

「え、だって、海斗が蹴り飛ばすのはさ、例外ありじゃん。たまに私が困ってるのに鼻で笑って無視することない?」

てか、そっちの方が記憶に多いんだけど

「たいして本気でもない、危険そうでもないやつにいちいち体力は使わない」

「白鳥さんとか?」

記憶に新しい、海斗の淡泊さを再確認した出来事だ

彼女が正面切って結婚を前提にしたお付き合いをと言われたのに、こいつは電話口で笑い転げたのだ

物好きもいるもんだとか言いながら

それを淡泊以外のどう表現しようか

「ああ、白鳥さんは間違ってもストーカーとかならないだろうし、俺の逆鱗に触れることはないらだろうからね」

それに、しるふが知らないだけで水面下では、実は攻防戦があったり、なかったり…

「だからって笑うかなー?ホント理解できないわ」

愚痴を聞いてほしくて、大丈夫だよって、他の男になんか渡したりしないからって言ってほしくて電話したのに、あろうことか笑われたしるふは、実はけっこう根に持っている

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