あの時も、これからも
「ねえ」

回想にふけっていたら声をかけられて、しるふは反射的に顔を上げる

視界に飛び込んできたのは、つやのある髪をゆるく巻き、品のいいワンピースを着こなす同い年くらいの人だった

「あなたが立花しるふさん?」

どこか挑発的にけれど少しあざ笑うかのように口元に笑みを宿す

ああ、この感じよくあるなあ

と、すでに動じなくなった自分に少し驚いた

「海斗君、こんな子好みだったかしら」

ふわりと柔らかな髪がかしげた首の分揺れる

心境としては、こんな子で悪かったわね、だ

良く思うけど、彼女たちはどんな子だったら納得するのだろう

もっと美人看板を引っ提げている人だろうか

それとも仕事できる女?

それかもう守ってあげないと駄目ね、って思わせるような人形みたいな人?

結局のところ、彼女たちは自分自身が海斗の隣に居ない限り納得しないのだろう

「中途半端な子ー。とびっきり綺麗なわけでもないし、小さくて守ってあげたーいってほどかわいくもないし」

それでもそんな私に負けたのは、ほかでもない彼女たちだ

はっきりしているのは、海斗が彼女たちを選ばなかったこと

それを認めたくないがために、こうしてやっかみが来るのだけれど
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