あの時も、これからも
「私ね、あなたたちが大嫌い。そうやって小さいやっかみぶつけてきて、思い通りにならなかったら今度は権力頼み。そうやって海斗を傷つけて。だからもう、あんたたちの思い通りにはならない。やっかみたきゃ、やっかめばいいわ。嘘方便、並べたきゃ並べればいいのよ。それで私が海斗を疑うとかこれっぽちもないんだから」

花蓮の静かな瞳と視線が交差する

「腹をくくったもん。これからは面と向かって海斗の恋人だっていうわ」

それで何を言われようが、もう怖くない

付き合ったあの時、確かにこんな風に権力を行使する人たちからやっかまれるなんて思ってもみなかった

普通に喧嘩して、焼きもち妬いて、小さなことにすねて

それでも仲直りして

そうやって過ごす、普通の恋愛だと思っていた

でも、現実はそうじゃなくて

傷ついたし、傷つけもした

ふさわしくない、隣に居れない、そう思ったこともあった

でもあの瞳が優しい色をはらむのなら

隣にいてほしいと海斗が望むのなら

これからを二人でみたいと思うのなら

また一歩踏み出してみる

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