あの時も、これからも
じっとりと睨み上げると

「予想通りだなーと思って」

と肩を震わせて笑われた

この瞬間、持っているカバンを投げつけてやろうかと思った

本気で

そしたら少しは暴れまくる腹の虫が落ち着くかもしれない

そう思ってカバンの持ち手のところをぎゅっと握りしめたしるふに、リビングに入ろうとした海斗が振り向きながら言ってくる

「お土産、あるんだけど。それ渡そうと思って」

だから早く上がれよ。そんなとこに突っ立ってないで

そういうように海斗は先にリビングに姿を消す

怒りから瞳を細めるしるふは、憤然とスリッパをはき、どすどすと足音激しくリビングに入る

これで小もないお土産だったら離婚だ、離婚(いや、婚約破棄だろ…by海斗)

慰謝料ふんだくってカナダでもハワイでも一人で旅行に行ってやる

ついでに豪邸でもこしらえさせてやる

それくらい怒ってるのよ!!

「で?せっかく迎えに行こうと思ってた彼女の思いやりを無視してまで渡したいお土産って何?」

リビングに入ってくるなりカバンをそこら辺に置いて、腰に手を当ててにらんでくるしるふを気にした様子もなく海斗は細長い小さな紙袋をしるふに手渡す

憮然としながらも黙ってそれを受け取る

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