あの時も、これからも
「空港だと人が多くてゆっくり渡せないし、本当は指輪のはずだったけど、例のごとくすでに渡したし」

だから、それ

袋は受け取ったもののじとーと海斗をにらんで一向に開けようとしないしるふに、海斗が顎で袋を指しながら言う

「それより、なんでメールしないのよ」

「だから急きょ早く帰れることになったんだって」

「飛行機に乗ってからのちょっとした時間でもメール送れるでしょ!?これだって帰ってきてから渡せばいいじゃない!!」

「文句は中身を見てから聞く」

そういって開封を促す海斗をもう一にらみしてからしるふは、取っ手の紐にはってあるテープを丁寧にはがす

ゆっくりと中身を確認したしるふが息をのむのが分かる

「……海斗さあ、」

絞り出すようにつぶやくしるふの声は、心なしか震えている

「これの意味、知ってる?」

「もちろん。そこまで非常識じゃない」

言い切る海斗を見上げながらしるふの口がへの字に曲がる

じわりとにじむ涙は、うれしさから

「改めて」

優しく微笑んだ海斗が、静かに見つめてくる

「結婚しよう、しるふ」

その言葉に肩を震わせながら、しるふはこくんと頷く

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