あの時も、これからも
「しるふが?」
何しに来たんだ、あいつ
と、めくっていた資料から顔を上げて海斗が怪訝そうに眉を寄せる
言葉とは裏腹にしるふの来訪を迷惑がってなどいないことも、
でもしるふが訪ねてくるときは何かしら理由があるから心配していることも手に取るようにわかる聖は、何も言わずにドアを開ける
丁度副医院長室の前まで来ていたしるふが聖を認めて会釈する
黒崎病院のマドンナと呼ばれていたしるふは、今、黒崎病院副医院長夫人となった
柔らかな空気をまとったしるふを先に通し、入れ違いに聖は部屋を出ていく
気を使ってくれたらしい
「どうした」
かけられた声は昔と全く変わらず、落ち着いていて安心できる
「ん?祈(いのり)が海斗に逢いたいって言うからさ」
柔らかなカーペットを踏みながら部屋の中央くらいで立ち止まり、抱いた愛娘に「ねー」と微笑みかける
「まだしゃべれないだろう」
呆れながらつぶやく海斗もまんざらではないようで、
椅子から立ち上がって近寄ると、しるふの腕から祈を抱き取る
「そんなことないよ?祈はおなかにいる時からパパっこだもん。さっきも逢いたいって泣くんだから」
大変だったのよ
そういって海斗に抱かれた祈の頭を撫でる
何しに来たんだ、あいつ
と、めくっていた資料から顔を上げて海斗が怪訝そうに眉を寄せる
言葉とは裏腹にしるふの来訪を迷惑がってなどいないことも、
でもしるふが訪ねてくるときは何かしら理由があるから心配していることも手に取るようにわかる聖は、何も言わずにドアを開ける
丁度副医院長室の前まで来ていたしるふが聖を認めて会釈する
黒崎病院のマドンナと呼ばれていたしるふは、今、黒崎病院副医院長夫人となった
柔らかな空気をまとったしるふを先に通し、入れ違いに聖は部屋を出ていく
気を使ってくれたらしい
「どうした」
かけられた声は昔と全く変わらず、落ち着いていて安心できる
「ん?祈(いのり)が海斗に逢いたいって言うからさ」
柔らかなカーペットを踏みながら部屋の中央くらいで立ち止まり、抱いた愛娘に「ねー」と微笑みかける
「まだしゃべれないだろう」
呆れながらつぶやく海斗もまんざらではないようで、
椅子から立ち上がって近寄ると、しるふの腕から祈を抱き取る
「そんなことないよ?祈はおなかにいる時からパパっこだもん。さっきも逢いたいって泣くんだから」
大変だったのよ
そういって海斗に抱かれた祈の頭を撫でる