あの時も、これからも
「だから、海斗を待つの。待つのがつらくないわけじゃないけど、私だって黒崎病院で医者をしたいし、それに海斗がちゃんと日本に帰ってくるようにね」

そうつぶやくしるふの瞳に不安はない

少し寂しそうにも見えるけれど、あるのは優しい光

それを認めた紗雪ははあと息をつく

「わかった。あんたと海斗君が決めたことだもんね。…でも一年後やっぱり別れました、なんて許さないからね」

「それは約束できないなー」

一年で何があるかなんてわかんないじゃん?

苦笑を返すしるふに紗雪の眉が寄る

「あんたねー、そこまで言うなら一年間とことんしっかりと待ちなさいよ」

「いや、だって海斗が他の人を見初めるかも知れないし?そのままドイツに居続けるかも知れないし」

こればっかりはなーとつぶやくしるふ

「定期的にきちんと連絡しなさいよ」

たとえ海斗からのメールが途切れたとしても

「頑張るよ」

頷きながらアイスティーに手を伸ばすしるふに紗雪は不安そうな視線を送った

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